
シリーズ第4弾は、ドイツ発祥の世界的光学メーカー「カールツァイス(Carl Zeiss)」をご紹介します。
「ツァイスのレンズ」と聞くだけで、期待が高まるカメラマンも多いのではないでしょうか。顕微鏡から宇宙望遠鏡、そしてカメラレンズまで、「見る」という行為を極限まで突き詰めてきた光学ブランドです。
カールツァイスのはじまりと哲学
1846年、ドイツ・イエナにて創業。創業者であるカール・ツァイス(Carl Zeiss)は、当初は顕微鏡の製作工房を開きました。
科学者エルンスト・アッベとの協力により、光学設計の理論化を進めたことで、ツァイスは「理論と技術が融合した精密光学メーカー」として発展します。
その後、カメラ用レンズの製造に本格参入し、「Planar」「Sonnar」「Biotar」「Distagon」など、写真史に名を刻む伝説的レンズを数多く開発。これらのレンズ設計は、現代に至るまで世界中のカメラメーカーにも大きな影響を与え続けています。
カールツァイスのカメラ・レンズの特徴
■ 絶対的な描写性能
ツァイスレンズ最大の魅力は、色再現の自然さ、抜けの良さ、立体感ある描写。コントラストの高さと色乗りの深さは、まるで「肉眼で見た世界」をそのまま切り取ったような印象を与えます。
■ 圧倒的な解像力と精度
レンズ1本1本が非常に高い光学精度で設計・製造されており、隅々まで解像するシャープさと、ボケ味の滑らかさを両立。中判や高画素機でその力を存分に発揮します。
■ 他社とのコラボレーションにも積極的
ソニー、ハッセルブラッド、コンタックスなど、複数のメーカーとの提携を通じて、ツァイスの技術はさまざまな製品に搭載されています。特にソニーとの協業により誕生した「ZEISS Tコーティング」は、反射を抑えたクリアな描写で名高い技術です。
写真家たちにとっての「ツァイス」
ツァイスは、「作品としての一枚を撮る」写真家にこそ選ばれてきたレンズメーカーです。
たとえば、報道やスナップというよりも、風景・ポートレート・静物・建築写真など、精緻な描写を求める分野で圧倒的な信頼を集めています。
また、MF(マニュアルフォーカス)レンズのシリーズ「ZEISS Milvus」「ZEISS Otus」「ZEISS Loxia」などは、オートフォーカス全盛の現代においても、意図した一点にフォーカスし、丁寧に構図を決める“写真の原点”を思い出させてくれる道具です。
現代のツァイス
ツァイスはスチル写真だけでなく、シネマレンズ分野においても世界最高峰の地位を誇ります。
「ZEISS Supreme Prime」「ZEISS Compact Prime」などは、映画・CM・ドキュメンタリーの現場で重用されており、その描写はまさに芸術の域。
また、スマートフォン分野にも参入しており、ノキアやvivoなどのスマホカメラにツァイスレンズが採用されています。これにより、“ツァイス品質”をより広い層に提供することにも成功しています。

