
シリーズ第5弾は、日本を代表する総合映像メーカー「富士フイルム(FUJIFILM)」を特集します。かつてフィルムメーカーとして一時代を築いた富士フイルムは、デジタル時代においても“色”と“質感”にこだわるブランドとして、写真家たちの感性を支え続ける存在です。
富士フイルムの原点 〜フィルムから始まる物語〜
富士フイルムの歴史は1934年、日本国内初の写真用フィルム製造を目的として設立された「富士写真フイルム株式会社」に端を発します。以降、ネガフィルム、リバーサルフィルム、インスタントフィルム、業務用X線フィルムなど、あらゆる分野の“感光材料”を開発し続けた、日本が誇る光と色のスペシャリストです。
なかでも「Velvia(ベルビア)」「PROVIA(プロビア)」などのカラーフィルムは、風景写真家や広告カメラマンに絶大な人気を誇り、“富士の色”として世界的に知られる存在になりました。
デジタル化への挑戦と成功
2000年代以降、フィルム市場の縮小が加速する中、富士フイルムは他社に先んじて「フィルム文化の再構築」をデジタル領域で開始します。
それが、いまや多くの写真家にとって手放せない存在となっている「Xシリーズ」の誕生です。
■フィルムシミュレーション機能
富士フイルム独自の機能である「フィルムシミュレーション」は、VelviaやPROVIAをはじめとした自社製フィルムの発色や質感を、デジタルで再現する画期的な技術です。単なる色味のプリセットではなく、「写真文化」そのものを継承する表現モードとして高く評価されています。
■X-Trans CMOSセンサー
ベイヤー配列ではなく独自のカラーフィルター配列を採用したX-Transセンサーは、モアレや偽色を抑えながらも、シャープで自然な解像感を実現。一眼レフともフルサイズとも異なる「富士らしさ」を支える核となっています。
富士フイルムのプロダクトライン
■ Xシリーズ(APS-Cミラーレス)
X-T5、X-H2、X-Pro3など、クラシカルな操作性と高機能を両立した人気シリーズ。ダイヤル操作・高画質・コンパクトさのバランスが魅力です。
■ GFXシリーズ(中判ミラーレス)
GFX100 IIなどを中心とした中判センサー搭載機は、スタジオ撮影や風景写真など、圧倒的な解像感とダイナミックレンジを必要とする現場に最適。高画素時代のプロフェッショナル機として注目されています。
■ INSTAX(チェキ)シリーズ
瞬間撮影×アナログ出力を融合させた「チェキ」は、世界中で愛されるカルチャーアイテム。Z世代にも広く浸透しています。
富士フイルムを愛用する写真家たち
富士フイルムは、「描写の美しさ」や「直感的な操作性」、そして「撮る楽しさ」を求める写真家たちに愛用されています。特にスナップ・風景・ポートレートなど、「色で語る写真」にこだわるフォトグラファーからの支持が厚いのが特徴です。
また、フィルムシミュレーションを使ったJPEG撮って出しの運用スタイルも広まりつつあり、「RAW現像からの解放」として新たなワークフローの選択肢にもなっています。

