障害者も一緒に楽しめるスポーツを|Photo Like Sports【フォトライクスポーツ】

menu
Photo Like Sports
受付時間/10:00~17:00(定休:土日祝) tel.050- 3315- 0433050- 3315- 0433
  1. ログイン
  2. 新規登録

障害者も一緒に楽しめるスポーツを

2025/07/20こどもとスポーツ

障がいのある方々がスポーツをより楽しめるようにするためには、道具やルールをその人に応じて工夫することが大切です。
こうしたアプローチは欧米で生まれ、日本では1990年代から「アダプテッドスポーツ」という名称で知られるようになりました。
現在では、学校などの教育の場でも普及を目指す取り組みが進められています。
障害のあるなしに関わらず、身体を動かすことは楽しいし気持ちが良いこと、と感じてほしいですね。たくさん写真に収めたくなるでしょう。
(※2025年4月2日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

「できた!」の喜びを風船でつなぐ。障がいのある子どもたちの体験教室

今年の3月、茨城県つくば市にある筑波大学の体育館では、「たいそう教室」が開催され、子どもたちの楽しそうな声が響いていました。
この日、小中学生9人が参加し、風船を使ったリレー形式のゲームに夢中で取り組んでいました。
参加した子どもたちは、知的、発達、あるいは肢体に障がいのある児童生徒で、それぞれが大きな風船とラップを張った板を使ってゲームに参加していました。
風船は通常のボールよりもゆっくりと落下し、板は手よりも広い面積があるため、風船をつなぐ動作が成功しやすく工夫されています。
こうした配慮により、子どもたちは萎縮することなく体を動かすことの楽しさを実感していました。

学びと実践の場、子どもたちの笑顔を支える「たいそう教室」

筑波大学で毎週1回行われている「たいそう教室」は、斉藤まゆみ教授の指導のもと、大学生や大学院生たちが運営しています。
特に教職を志す学生にとっては、講義で得た理論を現場で試す貴重な経験の場にもなっています。
この教室に通うようになった中学1年生の息子さんについて、保護者の大関円さんは
「通い始めてから体を動かすことに前向きになりました。それぞれの子どもに応じた丁寧なサポートがあるため、息子も緊張せずにのびのびと活動できています」
と語ります。
この取り組みを始めるきっかけとなったのは、斉藤教授が過去に障がいのある学生と交わした一言でした。
体育の授業への参加を促した際、その学生は「私もやるのですか? いままでずっと見学だけでした」と返答したそうです。
斉藤教授は、通常の学級における障がいのある児童生徒への体育指導について「多くの先生方が、自分のやり方でよいのかと迷いながら試行錯誤しているのが実情です」と指摘します。
教師の裁量に任されている現状では、専門的な支援や経験の共有がますます重要となっています。

誰もが安心して学べる体育を目指すアダプテッド教育の挑戦

文部科学省の調査によりますと、義務教育の通常学級に在籍しながら、特別支援を必要とする子どもたちの数は、2007年からの10年間で約2.4倍に増加し、およそ10万9,000人に達したと報告されています。
この現状を受けて、「教員がより自信を持って対応できるよう、効果的な指導法を広めていく必要がある」との考えが強まってきました。
その流れの中で、2019年度からスポーツ庁の委託を受けて、「アダプテッド定着プロジェクト」がスタートしました。
この取り組みは、日本福祉大学や東海大学の教授らと連携し、学校現場にアダプテッドスポーツの考え方を根づかせることを目的としています。
プロジェクトでは、2030年までに、全国の通常学級で体育を担当する小・中・高校の教員のうち、90%以上が障がいのある児童生徒を指導することに抵抗を感じず、80%以上がその指導に不安を抱かない状態を目指しています。
また、70%以上の教員が「アダプテッドスポーツ」という言葉を認識していることも目標に掲げています。

誰もが楽しめる運動環境を広がるアダプテッドスポーツの輪

「アダプテッドスポーツ」の考え方をより多くの人に届けるために、公開講座を通じた情報発信が行われています。
また、インターネットサイト  https://adaptedproject.jimdofree.com  
では、学習指導要領に準拠した具体的な工夫の方法を紹介する動画コンテンツも公開されています。
「始めた頃は、そもそもこの言葉自体がほとんど知られていませんでした」と斉藤まゆみ教授は当時を振り返ります。
プロジェクト開始から折り返しを迎える2025年度には、アンケート調査を実施し、用語や考え方の浸透度などを把握することで、今後の取り組みに反映させていく計画です。
また、筑波大学で行われている「たいそう教室」では、学生だけでなく、現職の小学校教員である下山大介さん(38)も活動に参加しています。
千葉県の教員研修制度を活用し、1年間斉藤教授のもとで学んだ経験を積んできました。
下山さんは「アダプテッドスポーツは、障がいのある子どもたちだけでなく、運動が得意な子とそうでない子の間にある差も縮めてくれます。
全員が運動の楽しさを味わえるのが、この取り組みの素晴らしさだと感じています」と語っています。
子どもが笑顔になれば保護者も笑顔に。障害のある子どもたちが自己肯定感を育み、色々なことに挑戦したくなるといいですね。
素敵な一瞬を写真に収めましょう。