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イチロー氏、アジア出身選手初の米野球殿堂入り

2025/06/18スポーツと写真

プロ野球パ・リーグで7年連続首位打者となったイチローさん(51)は、2001年に27歳でメジャーリーグのマリナーズに移籍しました。
日本人の野手として初めてメジャーの舞台に立ち、その後の活躍が注目を集めました。
そして2024年1月には、アジア出身選手として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしました。
日本のみならず世界から常にカメラを向けられ、多くの写真が残る存在。その偉業を追ってみましょう。
(※2025年3月29日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

イチロー氏を語る元コミッショナーの記憶

2024年の夏、2001年当時にMLBのコミッショナーを務めていたバド・セリグ氏(90)にインタビューを行いました。
イチローさんについての初印象を尋ねると、「最初から結果を出し、すぐにチームに馴染んでいた。とにかく偉大な選手だった」と語ってくれました。
当時のMLBはパワーヒッターが主流で、1998年にはマーク・マグワイア選手(カージナルス)が年間70本塁打の新記録を樹立していた時代です。

信頼と驚きに満ちた軌跡

日本人野手がメジャーで通用するかどうかには懐疑的な意見もありましたが、当時のコミッショナーだったセリグ氏はイチローさんの実力を疑っていなかったそうです。
「あらゆる面で優れており、その評価に偽りはなかった」と語っています。
開幕後、イチローさんは走攻守のすべてで観客を魅了し、2019年の引退までに数々の記録を樹立しました。
特に2004年に84年ぶりに更新した年間262安打の快挙には、「想像できるかい?年間で262本だよ」とセリグ氏も驚きを隠しませんでした。
さらに彼の功績はプレーだけにとどまらず、その存在が多くの日本人選手に道を開く原動力となり、2024年時点でメジャー経験を持つ日本人野手は約20人に達しています。

世界に道を開拓したイチロー氏の功績

「イチロー氏の活躍は世界中の人々に強い影響を与えました。彼は日米のみならず、世界の多くの人々に新たな可能性を示したのです。まさに殿堂入りにふさわしい存在です」とセリグ氏は語ります。
韓国や台湾をはじめとする多くの国の選手にとって、イチロー氏は目指すべき存在となりました。
また、日米の親善試合やWBCなど国際大会での活躍を通じて、野球を通じた文化交流にも大きく貢献してきたことが評価されています。

野球の本質を思い出させた存在

米ウェスタン・ワシントン大学のデレク・モスケイト教授(ジャーナリズム)は、イチロー氏の登場がメジャーリーグにとって大きな転換点だったと述べています。
「ホームラン偏重だった時代に、彼は守備や走塁など、野球の基本の大切さを再認識させてくれました。ステロイドや高額契約といった問題が多かった中で、彼は野球の本来の魅力と伝統を蘇らせてくれた存在です」と語っています。
また、どんなときも真摯にプレーへ向き合う姿勢は、多くの人に敬意を持って受け止められました。

イチロー氏がもたらした影響と外交的な意義

イチロー氏のプレーが注目されるようになると、アメリカの選手たちも彼の準備やストレッチ方法を取り入れ始めたそうです。
「多くの選手が彼の技術を少しでも学びたいと願った。それこそがイチロー氏への最大の敬意ではないでしょうか」とモスケイト教授は話します。
広報や文化の交流を通じて外国の人々に働きかける「パブリック・ディプロマシー」を専門とするモスケイト氏は、イチロー氏が日米関係の深化にも貢献していると見ています。
日本人や日本文化に対する好意的な印象は、シアトルだけでなく全米に広がっていると分析しています。
その影響力の大きさから、彼の存在は日本政府が掲げる「クールジャパン戦略」にも寄与していると指摘しています。
その一例として、2015年春に行われた日米間の世論調査を挙げています。

スポーツを枠を越えて評価される存在に

経済や国際認識に関する質問が並ぶ中、小泉純一郎元首相や当時の安倍晋三首相、作家の村上春樹氏、さらにはポケットモンスターと並んで、イチロー氏についての印象を尋ねる項目もありました。
モスケイト教授は、「彼が外交や経済に直接関与したとは言えませんが、イチロー氏の存在がスポーツという枠を超えた広い議論の中で語られるようになったことは象徴的です。そのため、彼が文化や時代を代表する人物として捉えられることには大きな意味があると思います」と語っています。