幸せいっぱいのウェディング。でも離婚件数も増えているのが現実。
「今そんなことは考えられない」という方がほとんどでしょう。
特に熟年離婚後に遺産分割で揉めるケールがあるのだとか。
長年にわたって同居してきた夫婦が離婚する場合、特に20年以上の熟年離婚では、財産の分け方を巡ってトラブルが生じやすいと言われています。
民法では、夫婦が協力して築いた財産は共同のものであり、それを2分の1ずつに分けることが原則とされています。
しかしながら、実際にはこの分配をめぐって意見が対立することも少なくありません。現実の事例を通して、その理由について考えてみましょう。
(※2025年1月26日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
証拠で守った「自分の帰る場所」
ある、56歳の主婦の話です。
2012年春、末子が大学進学で家を出た直後、夫から突然メールで「離婚したい」と告げられました。
その女性は驚きを隠せませんでした。
連絡も少なく、夫の行動に不審を感じていた矢先の出来事でした。
やがて夫から「自宅を売る。出て行かなければ生活費は出さない」と通告され、主婦は自宅を守るために調停を決意します。
決め手となったのは、夫の不貞を記録した手帳と調査会社の証拠でした。
1年以上の調停を経て、条件はすべて受け入れられ、自宅は女性の手に残りました。
今は子どもたちが帰る場所を守りながら、穏やかな日々を送っているそうです。
代償として残ったものは・・・
次は、ある70代の男性の話です。
立川市で暮らしていたその男性は、離婚を望みながらも元妻の反対で長年別居を強いられました。
家は元妻の提案で建てた二世帯住宅でしたが、夫婦関係は悪化し、男性は家を出てアパート生活を始めました。
離婚調停は不成立となり、裁判でも別居期間の短さを理由に離婚は認められませんでした。
生活費やローンの支払いが続く中、男性は事業も失い、経済的に追い詰められていきます。
やがて家の損傷が決め手となり、元妻が離婚に同意。
家を売却し、ようやく離婚が成立しました。
結果として、住まいも財産も手放し、年金だけが頼りの生活が始まりました。
お金のリアル、家と退職金がカギか
離婚相談を2,000件以上手がけた弁護士・堀井亜生さんによると、熟年離婚では財産分与が深刻な問題になりやすいそうです。
収入が限られる中で、老後資金として現在の資産に頼る夫婦が多いためです。
特にトラブルになりやすいのが「家」の処分方法です。
本来は売却して現金化し分け合うのが原則ですが、高齢のため新しい住まいを見つけにくいことから、どちらかが住み続ける例も少なくありません。
また、退職金の見込み額も財産として扱われることは意外と知られていません。
離婚時点での算定額が対象になるため、注意が必要です。
生活基盤を確保することが、熟年離婚を進めるうえで重要です。
夫婦の財産状況を正確に把握し、早めの準備が求められます。
経済的自立が未来を支える現実
アンケートの自由記述には、「経済的な理由で離婚に踏み切れない女性が多い」との声が数多く寄せられました。
現在、熟年離婚に直面している50~70代の多くは、かつて「女性は家庭を守るもの」とされてきた時代を生きてきました。
そのため、生活面で夫に依存せざるを得なかった実情が、妻たちの選択を難しくしていると感じます。
長年連れ添っても、将来も同じ関係を続けられる保証はありません。
だからこそ、たとえ離婚を望まなくても、経済的に自立しておくことが将来の安心につながるのではないでしょうか。
最近では、そう考える夫婦が私の世代でも増えているように思います。