「結婚相談所で知り合いました」と聞くと、少し昔ながらの出会い方というイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。
しかし近年では、若い世代の利用者が増加していると言われています。
いま、結婚相談所にはどのような変化が起きているのでしょうか。
(※2025年12月 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
若年層で拡大する結婚相談所の利用動向
婚活サービス大手のIBJが全国で展開する結婚相談所では、2024年における20代以下の入会者数が5年前と比較して大きく増加しています。
男性は336.4%、女性は195.9%と、いずれも顕著な伸びを示しています。
年代別に見ると、男女ともに最も高い増加率を記録しているのが20代以下です。
特に男性は、2位となる30代前半(241.0%)を大きく上回る結果となっています。
他の大手婚活サービスにおいても、20代の新規登録や問い合わせが他の年代より多い傾向にあるとされています。
結婚相談所自体は新しい仕組みではなく、1933年には公営の「東京市結婚相談所」が設立されるなど、長い歴史を持つサービスです。
そうした中で、なぜ今あらためて若年層からの注目が集まっているのでしょうか。
人気YouTuberのはじめしゃちょーの動画で紹介された結婚相談所「パートナーエージェント」を運営するタメニーの担当者は、その背景として出会いの機会の減少を挙げています。
近年は都市部へ移動する若者が増え、地元での人間関係が希薄になりやすくなっています。
また、セクシュアルハラスメントに対する意識の高まりにより、職場での恋愛にも慎重になる傾向が見られます。
こうした環境の変化が、結婚相談所の利用増加につながっていると考えられます。
効率重視の時代が後押しする婚活スタイルの変化
近年広く浸透した「タイパ」という考え方も、結婚相談所の利用が増えている背景の一つと考えられます。
タイパとは、タイムパフォーマンスの略であり、限られた時間の中でどれだけ効率よく成果を得られるかを重視する価値観です。
結婚相談所には、会員に対して助言を行い、お見合いの調整まで担うカウンセラーが在籍しています。
タメニーのカウンセラーによると、20代の新規会員からは入会理由として次のような意見が多く寄せられているそうです。
「偶然に任せた出会いに時間をかけるのは非効率だと感じる」
「マッチングアプリはやり取りに時間がかかるうえ、実際に会えない可能性もある」
このような声からは、「確実性」と「効率」を重視する姿勢がうかがえます。
そのため、専門家のサポートやシステムに費用をかけてでも、できるだけ短期間で理想の相手と出会いたいと考える人が増えています。
また、同社の担当者によれば、女性の中には「早めに出産を考えているため、できるだけ短期間でパートナーを見つけたい」と希望するケースも少なくないとのことです。
コロナ禍以降、マッチングアプリはパートナー探しの主要な手段として定着しました。
しかし、利用目的は人によって異なり、結婚を真剣に考えている人にとっては、相手の意図を見極めることが難しい場面もあります。
その点、費用を支払うことで一定の信頼性や安全性が確保されるという安心感も、若い世代が結婚相談所を選ぶ理由の一つとなっています。
また担当者曰く、良い相手とマッチングしたとしても、その人がウソをついていないか確かめなければならないため、逆に効率が悪いという意見もあるそうです。
第三者のサポートが受け入れられる日本の婚活事情
恋愛に関する若者の行動を研究している山田順子助教(恋愛心理学・立正大学)は、「アメリカと比較すると、日本ではマッチングアプリよりも結婚相談所の仕組みの方が適している可能性があります」と指摘しています。
多くのマッチングアプリではプロフィールに顔写真の掲載が求められますが、日本人は自分の顔を公開することに対して抵抗を感じやすい傾向があります。
また、アプリでは外見を基準に相手を選ぶケースが多いとされており、その点についても課題があるといえるでしょう。
一方、結婚相談所ではカウンセラーが間に入り、外見だけでは伝わりにくい人柄や魅力を補足してくれるため、より本質的なマッチングにつながりやすいと考えられます。
さらに、日本では上司や友人、家族など第三者の紹介によって交際や結婚に発展するケースも少なくありません。
こうした文化的背景から、第三者が関与する出会いの形に対して比較的抵抗が少ないことも特徴です。
専門家は、「結婚相談所のようにプロが間に入るサービスに対して、日本では受け入れやすい土壌があります。日本人は見知らぬ相手への警戒心が強い傾向があるため、その不安を和らげる存在として第三者を求めているのではないでしょうか」と分析しています。
また、相手選びをすべて自分で行う必要があり、実際に会うまでのプロセスも長くなりがちなマッチングアプリに対して、「疲れてしまった」という声が若年層から多く聞かれる点も見逃せません。
なお、欧米では結婚相談所は一般的なサービスとは言い難く、海外の恋愛研究者からは「どのような仕組みなのか」と関心を持たれることもあるそうです。

