
高校野球では、選手だけでなくチームを支えるスタッフの存在も欠かせません。
第97回選抜高校野球大会に初出場する横浜清陵では、性別による役割を決めず、全員がチーム運営を担う考え方を大切にしています。
その取り組みから、スポーツチームの新しい姿を考えます。
(※2025年3月8日の朝日新聞の記事を参考にしています)
家庭科教諭として野球部を率いる監督
横浜清陵の野原慎太郎監督は、全国的にも珍しい男性の家庭科教諭です。
自身も神奈川・東海大相模で野球に取り組み、2000年春の選抜大会では控え投手としてベンチ入りし、チームは優勝しました。
横浜国立大学の教育学部では「家族関係学」に興味を持ち、男女の役割について考えるようになったといいます。
「男性だから」「女性だから」と無意識に役割を決めてしまうことは、日常生活でも意外に多いように感じます。
野原監督は2020年に横浜清陵へ赴任してから、野球部でもこうした固定観念を見直してきました。
マネージャーは「お手伝い」ではない
横浜清陵では、マネージャーにお茶の準備や練習の補助を当然の仕事として求めていません。
任せるのは、文字通りチームの「マネジメント」です。
過去には対戦相手のデータ分析や練習メニューの進行などを担当させたこともあり、主将と同じくらいの権限を持ってチームを運営することを求めています。
主将の山本康太さんも、男女の違いにかかわらず、全員がチームを引っ張る存在を目指していると話します。
試合や大会ではプレーするアスリートに注目しがちですが、その舞台までの過程にはさまざまな人の働きがあります。
スポーツ写真でも、選手だけでなくチームを動かす人たちの姿を残せたら、その大会をより深く振り返れる記念写真になるのではないでしょうか。
「学生スタッフ」からマネージャーを目指す
現在、横浜清陵の女子部員は坂内羽麗さん1人です。
中学時代は陸上部でしたが、同校の取り組みに魅力を感じて入部しました。
選手が補食で使った皿を洗っていた際には、野原監督から、自分で洗うよう選手に伝えることや、男女で差をつけないことを指導されたそうです。
坂内さんは現在「学生スタッフ」であり、チーム運営を担える力を身につけてこそ「マネージャー」になるという考えです。
通学中には『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を読み、選手の力を引き出す方法を学んでいます。
練習中には選手へ大きな声で指示を出す姿もあり、支えるだけではないスタッフ像が見えてきます。
写真に残したいのはチーム全員の挑戦
家庭科教育では、かつて男女で異なる内容を学ぶ時代がありましたが、1993年から中学校、1994年から高校で再び男女の履修上の差がなくなりました。
それでも、長年続いた役割意識は簡単には消えないという野原監督の指摘には考えさせられます。
スポーツの世界でも、選手、主将、マネージャーといった立場を性別ではなく能力や役割で考えることが、これからさらに大切になるのでしょう。
試合撮影や大会撮影で残る一枚にも、勝敗だけでは見えてこないチーム全員の努力や関係性があります。
横浜清陵の甲子園初出場も、選手とスタッフがそれぞれの役割でつくり上げたチームの記録として注目したいです。

