多様な家族のあり方を考える「特定生殖補助医療法案」|Photo Like Propose【フォトライクプロポーズ】

Photo Like Propose
受付時間/10:00~17:00(定休:土日祝) tel.050- 3315- 0433050- 3315- 0433
  1. ログイン
  2. 新規登録
Photo Like Propose menu

多様な家族のあり方を考える「特定生殖補助医療法案」

2026/04/19プロポーズについて

2025年1月に国会へ提出された「特定生殖補助医療法案」は、対象を法律上の婚姻関係にある夫婦に限定し、違反時の罰則も設けられていることから、性的マイノリティーの当事者団体などから懸念の声が上がっています。
本法案の課題について、憲法学および家族社会学の観点から専門家の見解が示されています。
(※2025年3月7日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

生殖の権利をめぐる議論の現状と課題

名古屋大学で憲法学を研究する大河内美紀教授は、生殖に関する権利について「1994年の国際会議を契機に広く認識されるようになった概念です」と説明します。
この権利は、すべての個人やカップルが子どもを持つかどうかやその時期を自ら決定し、必要な情報へアクセスできることを含むとされています。
また、その要素の一つとして「科学的進歩の恩恵を受ける権利」が挙げられており、性的指向に関わらず生殖補助医療を利用する権利があるかという問いに対しては、広い意味では肯定的に捉えることができます。
ただし、第三者の精子を用いた医療といった個別の手法について、直ちに結論が導かれるわけではありません。
その理由として、「権利が認められること」と「制限を受けないこと」は同義ではない点が挙げられます。
生殖補助医療の多くはこれまで医学界の自主的な判断に委ねられてきた経緯があり、憲法学の分野では十分な議論の蓄積があるとは言えません。
そのため、どの範囲まで精子提供を含む医療を受ける権利が保障されるべきかについて、明確な結論は示されていないのが現状です。
違憲性については、「裁判所がどのように判断するかは簡単ではありません」と指摘します。
生殖に関する権利自体が発展途上の概念である以上、立法には一定の裁量が認められると考えられています。
一方で、日本国憲法の枠組みの中で、この権利をどこまで具体化するかを決めるのは立法府の役割であり、より実効性のある制度設計が求められています。
さらに、「現在確立されている人権も、当事者の声から生まれてきたものです」と述べ、現状では内容が明確でないからこそ、当事者の意見や経験が重要であると強調します。
寄せられた声を社会がどのように受け止め、権利として形にしていくかが、今後の大きな課題となっています。

多様化する家族と「親になる意思」の重要性

家族社会学が専門の白井千晶静岡大学教授は、今回の法案が対象を法律婚の夫婦に限定している点について、「現代の家族の実態とかけ離れている印象を受けます」と指摘します。
近年は同性パートナーシップ制度が各地で導入されるなど、家族や親子のかたちは多様化しており、「男女の夫婦と子ども」という従来の枠組みにとどまらない社会へと変化しています。
そのような中で罰則を伴う制度設計がなされていることに、強い違和感を覚えたといいます。
子どもの法的地位の安定が法案の目的とされていますが、「婚姻関係にあっても関係が続くとは限らない以上、それを親になる条件とすることには無理があります」と述べます。
自然な出産だけでなく、里親や養子縁組、再婚による継親関係など、さまざまな形で人は親になることができます。
生殖補助医療もその一つと捉えれば、重視すべきは形式ではなく「親として子どもを育てる意思」であると考えられます。
一方で、「意思があれば誰でもよい」という単純な話ではないとも指摘します。
養子縁組や里親制度と同様に、第三者機関による審査やカウンセリングを通じて、子どもを育てる覚悟や適性が確認される仕組みが必要です。
生殖補助医療においても、性的指向や婚姻の有無といった属性ではなく、親になる意志や責任感、準備状況が重視されるべきであり、医療機関に加えてソーシャルワーカーなどが関わる体制づくりが求められます。
また、この分野の法整備は20年以上にわたり必要性が指摘されてきましたが、社会全体の関心が十分に高まらなかったことが、議論の停滞を招いてきた背景にあるといいます。
今後は、未解決の課題を社会や行政が見過ごさないよう継続的に議論を促すことが重要です。
同時に、生殖技術の発展が血縁中心の家族観を強める側面にも目を向け、人権の観点とあわせて、多様な家族のあり方が尊重される社会を目指す必要があります。