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「監督が怒っては行けない大会」子どもがのびのびと楽しめるように

2025/07/16子どもと写真

元バレーボール日本代表の益子直美さん(58)らが立ち上げた「監督が怒ってはいけない大会」が、今年で節目となる10年目を迎えました。
この大会は、スポーツ指導における暴力やハラスメントの撲滅を目指して始められたもので、当初は「勝利を放棄するのか」といった否定的な声もありました。
しかし近年では、この大会に継続して参加しているチームが全国大会で優勝するなど、成果も現れています。
現在では、バレーボールにとどまらず他の競技でも同様の取り組みが広がりを見せています。
1月13日、福岡県宗像市で行われた大会の閉会式において、益子さんは「こんな日が訪れるとは思いもしませんでした」と感慨深く語られました。
この大会は、小学生のバレーボール大会としてスタートし、今年で10回目の開催となりました。
子どもがのびのびとスポーツを楽しむ姿は、写真にたくさん残したくなることでしょう。
(※2025年2月17日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

「叱らず育てる」子どもたちと共に歩む指導のかたち

福岡県飯塚市の男子チーム「幸袋ジュニア」は、今大会で見事優勝を果たしました。
昨年夏に全国の頂点に立った実績もあり、この日も監督の堀田祐司さん(51)は冷静な采配で選手たちを導きました。
子どもたちは、得点が決まるたびに笑顔とガッツポーズを見せ、観客席の保護者と一緒に踊るなど、試合中にも自由で伸びやかな姿が印象的でした。
全国決勝の場面でも、堀田さんの指示は「ミスしたら踊れ」というものでした。
堀田さんは初期から本大会に参加しており、子どもが挑戦した姿勢を評価する指導を大切にしてきました。
「選手の目や表情を観察し、それぞれの性格に合わせて声かけを工夫しています」と語ります。
全国優勝を成し遂げた直後、堀田さんは関係者にLINEで一言送信しました。
「怒らなくても勝てました」と。
この大会の原点には、益子直美さんと北川美陽子さん(56)、新二さん(54)ご夫妻との出会いがあります。
福岡県福津市在住の北川夫妻は、2009年の夏に長男の竜匠さん(当時9歳)と長女の美海さん(当時6歳)を水の事故で失いました。
お子さんたちのためにバレーボールチームを立ち上げましたが、勝利を求めるあまり指導に行き詰まりを感じていたそうです。
「厳しくするしか手段がなく、苦しいループにはまっていました」と美陽子さんは振り返ります。
2014年、「傷ついた友達がいる」と益子さんに話したのは、北川さんの同級生で僧侶の吉川孝介さん(54)でした。
吉川さんと益子さんは、東日本大震災の被災地支援で長年行動を共にしてきました。
その年、益子さんは北川夫妻の想いに応えるかたちで、福岡でバレーボール教室を開催。
「一緒に新たな一歩を踏み出しましょう」と、「益子直美カップ」の開催を提案しました。
益子さんと美陽子さんは高校時代、共に暴力的な指導を受けた経験がありました。
「もう二度と、スポーツで子どもたちが傷つく姿は見たくない」と強く願っています。

「怒らない指導」への第一歩 ― 新たなスポーツ大会の挑戦

2015年1月に開催された第1回大会の直前、益子直美さんは「指導者は怒らないこと」を大会の基本ルールとして提案しました。
その方針のもと、大会では怒った指導者に対して赤い「×」マークがついたマスクを渡し、注意を促しました。
さらに、子どもたちが心から楽しめるよう、リレーやクイズなどのイベントも実施されました。
しかし、開始当初は「怒らずに勝てるはずがない」や「子どもが調子に乗るだけだ」といった批判的なコメントが、益子さんのSNSに多く寄せられたそうです。
「代わりになる指導法を問われても、最初は自分でも明確な答えがなく、葛藤がありました」と当時を振り返ります。
現役選手だった頃、益子さんは失敗を過度に責められることで、新しいことに挑戦する気力を失い、無難なプレーばかり選ぶようになったと言います。
そうした経験から、怒りに頼らない指導法を追求するようになりました。
その後、アンガーマネジメントやメンタル指導に関する専門的な知識を学び、大会では講習会を通じて指導者に新しいアプローチを紹介してきました。
近年では、子どもたちの自主性を伸ばす「スポーツマンシップセミナー」や、試合後に互いの健闘を称え合う「アフターマッチファンクション」といった新たな取り組みも導入され、大会はより充実した内容へと進化を遂げています。

優しさの輪が広がる!スポーツを変える静かな革命

2021年、沖縄県で部活動の悩みを抱えた男子高校生が命を絶つという痛ましい出来事がありました。
この出来事を知った益子直美さんは、スポーツ指導の在り方を広めようと決意し、同年に北川夫妻と共に一般社団法人「監督が怒ってはいけない大会」を立ち上げました。
この取り組みは、東京や秋田、兵庫など全国各地に広がりを見せ、水泳やサッカー、バスケットボールといった他の競技分野でも実施されるようになりました。
今年、福岡で開かれた大会のセミナーでは、子どもたちが次々に手を挙げて、自らの意見を堂々と発表していました。
益子さんが「×」マスクを指導者に渡すような場面も見られませんでした。
益子さんはこう振り返ります。
「この大会だけが子どもたちにとって安心できる場ではなく、普段所属しているチーム内でも、自分の考えをきちんと伝えたり、新しいことに挑戦したりできるようになってきたのではないでしょうか。それが、10年かけて育まれてきた空気なのだと思います。」
保護者や周りの人たちも、子ども達が自信をもって楽しくスポーツができれば、おのずと笑顔が増えるでしょう。たくさん写真に収めましょう!